賃借権とは?
借地権との違いをわかりやすく解説

更新日:2026/10/08

賃借権とは(結論)

  • 意味:賃貸借契約にもとづいて、賃料を払って土地や建物を借りて使う権利です。貸主に対する「債権」で、借りる人を「賃借人(賃借権者)」と呼びます。
  • 借地権との違い:借地権は「建物を所有する目的の地上権または土地の賃借権」のこと。つまり建物所有目的の土地の賃借権=借地権で、実際の借地権のほとんどがこれにあたります。
  • 地上権との違い:賃借権は、売却(譲渡)や転貸に地主の承諾が必要です。地上権(物権)は承諾なしで売却できます。
  • 期間:民法上の上限は50年(2020年3月までは20年)。建物所有目的の土地の賃借権は借地借家法で30年以上、建物の賃貸借には上限がありません。
  • 登記:賃借権そのものの登記は少なく、借地なら借地上の建物を本人名義で登記、借家なら建物の引き渡しで、新しい所有者にも権利を主張できます。
ピピッチ
ピピッチ
みなさん、こんにちは。
借地権相談所のピピッチです。
パパッチ
パパッチ
パパッチです。
今回は、「賃借権」について、わかりやすく話していくよ。
ピピッチ
ピピッチ
借地権について調べていると、
「賃借権」
「地上権」
「土地賃貸借」
という言葉が出てくることがあるよね。
パパッチ
パパッチ
どれも土地や建物を借りる権利に関係していそうだけど、違いがわかりにくいよね。
ピピッチ
ピピッチ
そうだね。
特に借地権では、一般的に多いのが「賃借権」だよ。
今回は、賃借権とは何か、どう成立するのか、期間や保護、終了するケース、権利と義務まで順番に見ていきます。

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賃借権とは、賃貸借契約により賃借人(借りる人)が持つ権利で、土地や建物を使用する権利と賃料を払う責任があります。賃貸人(物件の持ち主や土地所有者)の同意がない限り、権利の譲渡や再貸借は認められません。

民法では、賃貸借の期間は最長50年(2020年3月までは20年)と定められています。また、土地や建物が相続されて賃貸人が変わった場合はもちろん、売却された場合でも、後で説明する対抗要件を備えていれば、賃借人は引き続き賃借権を主張できます。この賃借権に関しては、民法や借地借家法で取り扱われています。

借地権は、建物の所有を目的とする地上権と土地の賃借権を表します。建物を所有する目的での土地賃貸借においては、長期契約が求められるため、賃借権の存続期間は30年以上(借地借家法)とされています。

また、民法では賃借権を登記しないと第三者に対抗できないものの、賃貸人に登記義務がないため、賃借人の生活が不安定になることがあります。

これを解消するために、借地借家法では借地の場合は借地上の建物の登記で借地権を、借家の場合は建物引き渡しにより借家権を第三者に対抗できる措置が設けられています。

賃借権とその概要

パパッチ
パパッチ
まず、賃借権って何?
ピピッチ
ピピッチ
賃借権とは、賃貸借契約に基づいて、借りる人が土地や建物を一定期間利用できる権利のことだよ。
パパッチ
パパッチ
土地や建物を借りて使うための権利なんだね。
ピピッチ
ピピッチ
そう。
借地権の場面でいうと、地主さんから土地を借りて、その土地の上に建物を所有・利用するための権利だよ。
パパッチ
パパッチ
地上権とは違うの?
ピピッチ
ピピッチ
うん。
地上権は「物権」といって、権利としてかなり強い性質を持っているよ。
一方、賃借権は「債権」といって、地主さんとの契約関係に基づく権利なんだ。
パパッチ
パパッチ
だから、賃借権では地主さんとの契約内容がとても大事なんだね。
ピピッチ
ピピッチ
その通り。
賃借権には、土地や建物を使う権利がある一方で、賃料や地代を支払う義務もあるよ。

賃借権とは、賃貸借契約に基づいて賃借人が持つ権利のことです。これにより、賃借人は建物や土地を一定期間利用する権利を得ることができます。

しかし、賃借権には賃料を払う責任も伴います。本記事では、賃借権の基本的な概要と借地借家法の規定に基づいて解説します。

賃貸借契約

賃借権と借地権・地上権・借家権の違い

賃借権は、借りるもの(土地か建物か)や目的によって呼び方が変わります。土地や建物を借りる権利をまとめて「不動産賃借権」、土地を借りる権利を「土地賃借権」、建物を借りる権利を「建物賃借権」と呼びます。

このうち、建物を所有する目的の土地賃借権が「借地権」、建物賃借権が「借家権」にあたり、どちらも借地借家法で強く保護されています。駐車場や資材置き場として土地を借りる場合は、建物の所有が目的ではないため借地権にはならず、民法のルールだけが適用されます。

賃借権(一般)借地権(土地の賃借権)地上権借家権
権利の性質債権債権物権債権
借りるもの土地・建物・物建物を所有するための土地建物などを所有するための土地建物
適用される法律民法民法+借地借家法民法(建物所有目的なら+借地借家法)民法+借地借家法
存続期間最長50年30年以上(旧法は20年・30年以上)契約による(建物所有目的なら30年以上)上限なし(1年未満は期間の定めなしとみなす)
売却・転貸貸主の承諾が必要地主の承諾が必要(裁判所の許可で代えられる)地主の承諾は不要貸主の承諾が必要
第三者への対抗賃借権の登記借地上の建物の登記でも可地上権の登記建物の引き渡しでも可

なお、「貸借権(たいしゃくけん)」「賃貸借権」と書かれることがありますが、法律上の正しい言葉は「賃借権(ちんしゃくけん)」です。地上権との違いは「地上権とは?借地権との違い」、借地権の全体像は「借地権とは」で詳しく解説しています。

賃借権の成立

パパッチ
パパッチ
賃借権は、どうやって成立するの?
ピピッチ
ピピッチ
賃借権は、貸す人と借りる人が賃貸借契約を結ぶことで成立するよ。
土地の場合は、地主さんと借地人さんが土地賃貸借契約を結ぶイメージだね。
パパッチ
パパッチ
契約書がないと成立しないの?
ピピッチ
ピピッチ
契約は口頭でも成立する場合があるよ。
ただし、後から「契約期間はいつまでか」「地代はいくらか」「建て替えや売却はできるのか」で揉めることがあるから、書面で契約しておくのが一般的で安心だよ。
パパッチ
パパッチ
借地権は長く続くことが多いから、口約束だけだと危ないね。
ピピッチ
ピピッチ
うん。
特に賃借権は、地主さんの同意がない限り、原則として権利の譲渡や転貸はできないよ。
だから、売却や第三者への貸し出しを考えるときは、契約内容と地主さんの承諾が重要になるんだ。

賃借権は、賃貸人と賃借人が賃貸借契約を締結することで成立します。この契約は、口頭でも有効ですが、書面での契約が一般的です。賃借権は、賃貸人の同意がない限り、権利の譲渡や転貸は認められません(民法612条)。無断で譲渡・転貸すると、契約を解除されるおそれがあります。

賃借権の期間

パパッチ
パパッチ
賃借権の期間はどのくらいなの?
ピピッチ
ピピッチ
借りる対象が建物なのか、土地なのかによって考え方が違うよ。
建物の賃貸借については、現在では20年を超える期間の契約もできるようになっているんだ。
パパッチ
パパッチ
土地を借りて建物を所有する場合は?
ピピッチ
ピピッチ
建物を所有する目的で土地を借りる場合、つまり借地権としての賃借権では、現在の借地借家法で存続期間は原則30年以上とされているよ。
パパッチ
パパッチ
借地権は、建物を建てて使うから長期契約が前提なんだね。
ピピッチ
ピピッチ
そう。
それから、平成4年(1992年)8月より前に契約した土地賃貸借契約は、旧法賃借権と呼ばれることがあるよ。
旧法では、堅固建物か非堅固建物かによって期間の考え方が違うんだ。
パパッチ
パパッチ
鉄筋コンクリート造のような堅固建物と、木造などの非堅固建物で期間が変わるんだね。
ピピッチ
ピピッチ
うん。
だから、古い借地契約では、契約した時期や建物の構造を確認することが大切だよ。

民法では、賃貸借の存続期間は最長50年と規定されています(民法604条。2020年3月までは最長20年でした)。ただし、建物の賃貸借については、平成11年の借地借家法改正(2000年施行)により、この民法の上限が適用されなくなりました(借地借家法29条2項)。

その結果、定期借家や普通借家でも、20年を超える期間の建物賃貸借契約も締結することが可能となっています。

土地を賃借して建物を所有する場合、賃借権の存続期間は30年以上(新借地借家法)とされています。これは、建物を所有する目的での土地賃貸借においては、長期契約が求められるためです。

また、1992年(平成4年)7月31日以前に契約した建物所有目的の土地賃貸借は旧法賃借権とも呼ばれ、旧借地法のルールが適用され続けます。存続期間は堅固建物で30年以上、非堅固建物で20年以上(期間の定めがない場合は60年・30年)、更新後は堅固建物30年・非堅固建物20年です。詳しくは「借地借家法とは?旧法と新法の違い」をご覧ください。

賃借権の保護

パパッチ
パパッチ
賃借権は、どんなふうに守られているの?
ピピッチ
ピピッチ
たとえば、土地や建物の所有者が売買や相続で変わった場合でも、一定の条件を満たせば、借りている人は引き続き賃借権を主張できるよ。
パパッチ
パパッチ
地主さんが変わったからといって、すぐに出ていかなければならないわけではないんだね。
ピピッチ
ピピッチ
そう。
ただし、民法上は賃借権を第三者に主張するには登記が必要になることがあるよ。
でも実際には、地主さんに賃借権の登記義務がないため、賃借人さんの立場が不安定になることがあったんだ。
パパッチ
パパッチ
それだと、借りている人にとって不安だね。
ピピッチ
ピピッチ
そこで借地借家法では、借地の場合は建物の保存登記をすることで、借地権を第三者に主張できる仕組みが設けられているよ。 借家の場合は、建物の引き渡しによって借家権を主張できるんだ。
パパッチ
パパッチ
借地の場合は、土地じゃなくて建物の登記が大事になるんだね。

賃借権は、土地や建物が相続されて賃貸人が変わった場合は、当然に新しい賃貸人に引き継がれます。売却された場合も、対抗要件を備えていれば、賃借人は引き続き賃借権を主張できます。

これにより、賃借人の利益が保護されることができます。

ただし、民法では賃借権を登記しないと第三者に対抗できないため、賃貸人に登記義務がないことが問題とされていました。

これを解消するために、借地借家法では、借地の場合は借地上の建物の登記(借地借家法10条)で借地権を、借家の場合は建物引き渡し(同31条)により借家権を第三者に対抗できる措置が設けられています。

賃借権を登記しないとどうなる?

賃借権の登記も、借地上の建物の登記もしていない場合、土地が第三者に売却されると、新しい所有者に借地権を主張できず、明け渡しを求められるおそれがあります。

特に注意したいのは、建物の登記名義が借地人本人と違う場合です。たとえば、親から相続した建物を親の名義のままにしている、家族の名義で登記している、といったケースでは、対抗力が認められないことがあります。相続した場合は、早めに建物の相続登記を済ませておきましょう。

賃借権の終了

パパッチ
パパッチ
賃借権は、どんなときに終わるの?
ピピッチ
ピピッチ
主なケースは、契約期間が満了したとき、契約が解除されたとき、借りている物件を返還したときだよ。
パパッチ
パパッチ
契約期間が終わったら、必ず終了するの?
ピピッチ
ピピッチ
借地権の場合は、普通借地権のように更新が認められるものもあるよ。
ただし、定期借地権や定期借家のように、契約期間満了で終了する前提の契約もあるから、契約の種類を確認する必要があるんだ。
パパッチ
パパッチ
契約解除になるのは、どんな場合?
ピピッチ
ピピッチ
たとえば、賃料や地代を長期間支払わない場合、借りている物件を悪用した場合、無断で譲渡や転貸をした場合など、重大な契約違反があると解除につながることがあるよ。
パパッチ
パパッチ
使い方や支払いをきちんと守ることが大事なんだね。
ピピッチ
ピピッチ
その通り。
賃借権は守られる権利だけど、契約上の義務を果たすことも必要なんだ。

賃借権は、契約期間の経過や契約解除、賃貸物件の返還などによって終了します。

また、賃借人が賃料の支払いを怠った場合や、賃貸物件を悪用した場合など、重大な違反があったときにも賃借権は終了することがあります。

ただし、借地や借家では、期間が満了しても賃貸人が更新を拒むには正当事由が必要で、簡単には終了しません。また、賃料の滞納などを理由に解除する場合も、信頼関係が壊れたといえる程度の違反が必要とされています。賃借人が自ら契約の終了を申し出ることも可能です。

賃借人の権利と義務

パパッチ
パパッチ
賃借人と賃貸人には、それぞれどんな権利と義務があるの?
ピピッチ
ピピッチ
まず、賃借人さんには、契約に基づいて土地や建物を使う権利があるよ。
借りている物件について、必要に応じて修繕や改善を求められる場合もあるんだ。
パパッチ
パパッチ
その代わり、賃料や地代を支払って、物件を適切に使う義務があるんだね。
ピピッチ
ピピッチ
そう。
勝手に用途を変えたり、無断で第三者に貸したりすると、トラブルになることがあるよ。
パパッチ
パパッチ
賃貸人さん、つまり地主さんや貸主さん側はどう?
ピピッチ
ピピッチ
賃貸人さんには、賃料や地代を受け取る権利があるよ。
そして、契約に従って賃貸物件を使わせる義務があるんだ。
借りている人から必要な修繕を求められた場合には、内容に応じて対応が必要になることもあるよ。
パパッチ
パパッチ
お互いに権利だけでなく義務もあるから、契約内容を守ることが大切なんだね。

賃借人には、賃借権に基づく権利と義務があります。

権利には、賃貸物件を使用することや、賃貸人に対して物件の修繕や改善を要求することが含まれます。

義務には、賃料の支払いや、物件の適切な使用、賃貸人への連絡や協力が求められます。

賃借権に関するよくある質問

Q
賃借権とは何ですか?
A
賃貸借契約にもとづいて、賃料を払って土地や建物などを借りて使う権利です。貸主に対して「使わせてほしい」と請求できる債権で、借りる人を賃借人(賃借権者)、貸す人を賃貸人と呼びます。土地や建物を借りる権利は、まとめて不動産賃借権と呼ばれます。
Q
賃借権と借地権の違いは何ですか?
A
借地権は「建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権」のことです。つまり、建物を建てるために土地を借りる賃借権が借地権にあたり、実際の借地権のほとんどがこれです。駐車場や資材置き場として土地を借りる賃借権は、借地権にはなりません。
Q
賃借権と地上権の違いは何ですか?
A
賃借権は貸主に対する債権で、売却(譲渡)や転貸には貸主の承諾が必要です。地上権は土地を直接使う物権で、地主の承諾なしで売却や転貸ができ、地主には登記に協力する義務があります。一戸建ての借地では、ほとんどが賃借権です。
Q
賃借権と借家権の違いは何ですか?
A
借家権は、建物を借りる賃借権のうち借地借家法で保護されるものです。土地を借りる借地権と同じく、貸主が更新を拒むには正当事由が必要で、建物の引き渡しを受けていれば、建物が売却されても新しい所有者に権利を主張できます。
Q
賃借権は債権ですか、物権ですか?
A
賃借権は債権です。ただし、不動産の賃借権は、登記や借地上の建物の登記、建物の引き渡しによって第三者にも権利を主張でき、妨害の排除も求められるなど、物権に近い強い保護が与えられています(不動産賃借権の物権化)。
Q
賃借権を登記しないとどうなりますか?
A
賃借権の登記も借地上の建物の登記もない場合、土地が第三者に売却されると、新しい所有者に借地権を主張できず、明け渡しを求められるおそれがあります。借地では、借地人本人の名義で建物を登記しておけば対抗できます。建物が親の名義のままなど、名義が違う場合は注意が必要です。
Q
賃借権の存続期間はどのくらいですか?
A
民法上の賃貸借の期間は最長50年です(2020年3月までは20年)。建物の所有を目的とする土地の賃借権(借地権)は、借地借家法で30年以上、旧法の借地権は堅固建物30年以上・非堅固建物20年以上です。建物の賃貸借には上限がありません。
Q
賃借権(借地権)は売却できますか?
A
売却できます。ただし、賃借権の売却(譲渡)には地主の承諾が必要で、承諾料として借地権価格の10%程度を支払うのが一般的です。地主が承諾しない場合は、借地非訟の手続きで裁判所に承諾に代わる許可を求めることができます。借地権相談所では、借地権を直接買い取ることも可能です。

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4の交渉で地主様、借地権者様の双方の合意が取れた場合、売買契約になります。地主様との土地賃貸借契約などを行い物件の引き渡しと残金の支払いになります。

記事監修

監修者大庭辰夫 監修者大庭辰夫

監修者:株式会社マーキュリー 取締役 大庭 辰夫
2011年4月に入社以来、借地権・底地などの権利関係が複雑な不動産を取り扱い数多くの借地権者様、地主様の問題を解決し、土地・戸建て・マンション ・商業ビルなどあらゆる不動産の再生を行ってきた。
また、弁護士との情報共有を頻繁に行い、借地権・底地の見識を日々深めている。2018年5月、取締役に就任。

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