借地権を地主に
買い取ってもらう相場は?
交渉のコツと注意点
更新日:2026/10/13
借地権を地主に買い取ってもらう場合のポイント(結論)
- 地主に買取義務はない:借地人の都合で「買い取って」と求める法的な権利はありません。買い取ってもらうには、地主との話し合いで合意する必要があります。
- 相場の目安:更地価格の5割程度がひとつの目安です。交渉は「更地価格 × 借地権割合」で出した借地権価格から始めることが多いですが、借地人から申し出た場合は、それより低い金額になることが多いです。
- メリット:地代の支払いが終わり、第三者に売る場合に必要な譲渡承諾料(借地権価格の10%前後)がかかりません。
- 注意点:建物を残すのか更地にするのか、解体費用はどちらが払うのかを決め、必ず書面で契約しましょう。
- 応じてもらえない場合:第三者や買取業者への売却、底地と一緒に売る、などの方法があります。
借地権相談所のピピッチです。
今回は、「借地権を地主さんに買い取ってもらえるのか?」というテーマで話していくよ。
地代の支払いだけが続いている。
そんなときに、「地主さんに買い取ってもらえないかな」と考える方は多いです。
価格交渉や解体費用、税金、地主さんが買い取らなかった場合の選択肢まで、確認すべきポイントがたくさんあります。
目次〔開く〕
借地権を相続したものの住む予定がない場合、地主に借地権を買い取ってもらうことを考える方は少なくありません。
地主から見ても、借地権を買い取れば土地を自由に使えるようになるため、買取に応じる可能性は十分あります。ただし、地主との交渉は難しく、進め方を理解したうえで話し合うことが大切です。
地主に借地権を売ることは法的にできる?
ただし、借地人側の都合で、地主さんに借地権の買い取りを強制する法的な権利はないんだ。
建物買取請求権は、契約期間が満了して地主さんが更新を拒んだときなどに使える権利なんだ。
借地人の都合で「買い取って」と言える権利とは別だよ。
とは、建物を建てるためにです。財産なので、借地人が亡くなれば相続人が引き継ぎます。相続人が遠くに住んでいるなどで使う予定がない場合、地主に買い取ってもらえないかと考える方が多くいらっしゃいます。
結論から言うと、借地人の都合で地主に
「建物買取請求権があるから地主が買い取ってくれる」と考える方もいますが、建物買取請求権は、に、借地人が地主に建物を時価で買い取るよう請求できる権利です(借地借家法第13条)。借地人の都合で契約を途中でやめる場合には使えません。
借地借家法 第十三条第一項
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

そのため、地主に借地権を買い取ってもらいたい場合は、必要があります。
なお、借地権を第三者に売ろうとして地主が承諾せず、裁判所に許可を求める手続き(借地非訟)を申し立てた場合、地主は「それなら自分が買い取る」と申し立てることができます(介入権、借地借家法第19条第3項)。この場合は、裁判所が決めた価格で地主に売ることになります。→ 借地非訟について詳しくはこちら
地主に買い取ってもらうメリット・デメリット
もう1つは、第三者に売るときに必要な譲渡承諾料が、基本的にかからないことだよ。
地主さんには買い取り義務がないから、価格交渉が難しくなることもあるよ。
借地人は高く売りたい、地主さんはできるだけ安く買いたい。
この考え方の違いで、金額が折り合わないケースもあるんだ。
メリット
① 地代の支払いが終わる
相続した借地上の建物を使う予定がない場合、毎月の地代はただの負担になります。契約期間がまだ何十年も残っていれば、その負担はさらに大きくなります。地主に買い取ってもらえれば、必要のない地代の支払いを終わらせることができます。
② 譲渡承諾料がかからない
第三者に借地権を売る場合は、地主の承諾を得て譲渡承諾料(名義書換料)を払うのが一般的です。目安はです。地主自身が買い取る場合は、この譲渡承諾料がかかりません。→ 承諾料の相場について詳しくはこちら
デメリット
① 希望する価格で売れないことがある
売る側はできるだけ高く、買う側はできるだけ安くと考えるのが自然です。地主には借地権を買い取る義務がないため、お互いが納得できる金額にならず、交渉が長引くことがあります。
② 地主に有利な条件で話が進みやすい
「使わないなら更地で返してほしい」と考える地主は多くいます。借地人が手放したがっている状況では、相場よりかなり低い金額を提示されることもあります。
地主に借地権を売る場合の相場の目安
地主さんに売る場合、どのくらいの金額になるの?
ただ、借地人側から「買ってほしい」とお願いする形だと、実際の買取価格は更地価格の5割程度になることが多いんだ。
地主には借地権を買い取るため、価格は相場だけでなく交渉で決まります。一般的な流れは次のとおりです。
- :「更地価格 × 借地権割合」で計算します(住宅地の借地権割合は60〜70%が多い)。→ 借地権割合と計算方法
- 。
- で決まることが多いです。借地人から申し出た場合は、さらに低い金額や「更地で返してほしい」と言われることもあります。
計算例
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 更地価格 | — | 5,000万円 |
| 借地権価格(借地権割合60%) | 5,000万円 × 60% | 3,000万円 |
| 地主の買取価格の目安 | 5,000万円 × 5割程度 | 2,500万円程度 |
価格は、地域や契約内容、残りの契約期間、建物の状態、地主との関係によって大きく変わります。交渉の段階で、も、必ずはっきりさせておきましょう。
地主さんの提示額が妥当か知りたい方へ。
第三者に売った場合の価格を無料で査定します。
借地権を地主に買い取ってもらうための交渉のコツ
そうすれば、「第三者に売るか、地主さんが買い取るか」という選択肢を示せるんだ。
交渉では強く出すだけじゃなくて、歩み寄りも大切なんだよね。
① 交渉は専門家に間に入ってもらう
地主との交渉が一番重要と言っても過言ではありません。ですが、ほとんどの借地人にとって、地主との買取交渉は初めての経験です。何も知らないまま一人で交渉すると、低い金額で話が進んでしまうこともあります。
借地権に詳しいと、適切な借地権価格をもとに、地主と冷静に話し合いを進められます。借地権相談所は、借地権・底地を取り扱ってきた実績があります。地主との交渉もお任せください。
② 先に買取業者の査定を受けてから、地主と交渉する
地主に話を持ちかける前に、のも有効です。地主以外の買い手がいることを示せれば、「第三者に売るか、地主が買い取るか」という2つの選択肢を提示できます。
地主にとっては、第三者に売られると何十年も土地が戻ってこないことになるため、買取を前向きに考え直すきっかけになります。地主が買い取らなかった場合も、ことができます。
借地権相談所では、借地権ので行っています。
③ 価格はお互いの歩み寄りが大事
実際の価格は、借地人と地主の交渉で決まります。相場や計算上の価格にこだわりすぎると、地主が買取に応じてくれないこともあるため、ある程度歩み寄る柔軟さも必要です。
第三者に売る場合は、地主にの承諾料を払うのが一般的です。地主に買い取ってもらう場合はこれがかからないので、その分を考えて価格を受け入れるかどうか判断するとよいでしょう。
地主に買い取ってもらうときの注意点
特に大事なのが、建物の扱いと解体費用。
口頭で「買い取る」と言われて建物を解体したあとに、地主さんが買い取りを拒否するトラブルも考えられるんだ。
必ず書面で契約しておかないと。
① 建物の解体費用をどちらが払うか決める
地主が借地権を買い取るとき、買取金額の話が先に進み、解体費用のことを双方が忘れていることもあります。
金額はまとまったのに、地主は更地、借地人は建物はそのまま(現況)と、お互いの考えが違っていたというケースもあります。を条件に含めて交渉しましょう。
② 更地にする前に必ず書面で契約する
口約束だけで建物を解体して更地にしたのに、地主が買い取りを拒否するというトラブルもあります。建物がなくなると、地主が変わったときに借地権を主張するための根拠(建物の登記)も失われるため、こうした事態は避けなければなりません。
地主に買い取ってもらうときは、口約束ではなくことが大切です。借地人が更地にする義務を負う場合は、地主の都合で契約が解除になったときの解体費用の負担なども、契約書に明記しておきましょう。
借地権の売却にかかる税金と経費
不動産を売るときには、さまざまな税金や経費がかかります。ここでは、借地権を売るときにかかる主なものを説明します。
仲介手数料
不動産会社に仲介を頼んだ場合にかかる費用です。上限は売買金額に応じて次のように決まっています(消費税込み)。当社のように
| 売買金額 | 手数料率(税込) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円超え400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3.3% |
例:1,000万円の不動産を売った場合の仲介手数料
| 売買金額 | 当てはまる金額 | 手数料率 | 手数料(税込) |
|---|---|---|---|
| 200万円以下の部分 | 200万円 | 5.5% | 110,000円 |
| 200万円を超え400万円以下の部分 | 200万円 | 4.4% | 88,000円 |
| 400万円を超える部分 | 600万円 | 3.3% | 198,000円 |
| 合計 | 396,000円 | ||
このように部分ごとに分けて計算するのは手間がかかるため、次の速算式がよく使われます。
| 売買金額 | 速算式(税込) |
|---|---|
| 200万円以下 | 売買金額 × 5% × 1.1 |
| 200万円を超え400万円以下 | (売買金額 × 4% + 2万円)× 1.1 |
| 400万円を超える | (売買金額 × 3% + 6万円)× 1.1 |
例:(1,000万円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 396,000円
※売買金額が800万円以下の空き家などでは、特例として上限が最大33万円(税込)となる場合があります。
印紙税
不動産の売買契約書には印紙税がかかります。2027年(令和9年)3月31日までに作る契約書は、が適用されます。
契約書に書かれた金額 本則税率 軽減税率 1万円未満 非課税 非課税 1万円以上10万円以下 200円 200円 10万円を超え50万円以下 400円 200円 50万円を超え100万円以下 1千円 500円 100万円を超え500万円以下 2千円 1千円 500万円を超え1千万円以下 1万円 5千円 1千万円を超え5千万円以下 2万円 1万円 5千万円を超え1億円以下 6万円 3万円 1億円を超え5億円以下 10万円 6万円 5億円を超え10億円以下 20万円 16万円 10億円を超え50億円以下 40万円 32万円 50億円を超えるもの 60万円 48万円 契約金額の記載のないもの 200円 200円
譲渡承諾料
第三者に借地権を売る場合は、地主に譲渡承諾料(名義書換料・名義変更料)を払います。地主が買い取る場合はかかりません。
解体費用・測量費用
更地にして引き渡す場合は、建物の解体費用がかかります。木造住宅でも、建物の大きさや立地によっては100万円を超えることが珍しくありません。測量が必要な場合は、その費用もかかります。
譲渡所得税
土地や建物を売って利益が出た場合にかかる所得税と住民税です。借地権を売った場合も対象になります。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費には、借地権付きの建物を買ったときの価格や仲介手数料などが入り、建物は年数に応じて価値が減った分(減価償却費)を差し引きます。借地権を設定したときに払った権利金なども取得費に入りますが、毎月の地代は入りません。譲渡費用には、売るときの仲介手数料や譲渡承諾料、解体費用、測量費用などが入ります。
税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで変わります。相続した借地権の場合は、亡くなった方が取得した日から数えます。
所有期間 区分 税率 5年以下 短期譲渡所得
参照:国税庁 短期譲渡所得所得税30.63%+住民税9%=39.63% 5年超え 長期譲渡所得
参照:国税庁 長期譲渡所得所得税15.315%+住民税5%=20.315% ※所得税率には復興特別所得税(所得税額の2.1%、2037年まで)を含めています。
自宅として住んでいた借地権付きの建物を売る場合などは、3,000万円の特別控除などの特例が使えることがあります。個別の税額は、税理士や税務署にご確認ください。
地主が買い取りに応じてくれない場合の選択肢
感情的に判断せず、どの選択肢が一番負担が少ないかを整理することが大切だよ。

① 第三者や買取業者に売る
です。地主が買い取らない場合は、第三者への売却がになることが多いです。地主の承諾と承諾料が必要ですが、借地権専門の買取業者なら、地主との交渉も含めて任せられます。
→ 借地権売却の方法と手順 → 借地権の買取査定
② 底地と一緒に売る
地主も土地を手放したいと考えている場合は、借地権と底地を一緒に売って、売却代金を分ける方法があります。借地権と底地がそろって完全な所有権になるため、別々に売るより高く売れることが多いです。
→ 借地権と底地の同時売却
③ 地主に返す
借地権を無償で地主に返すのは、です。返すときは、原則として建物を取り壊して更地に戻す義務(原状回復義務)を負うため、解体費用がかかります。返す前に、売却できないか必ず検討しましょう。
④ 借地権を持ち続ける
自分で使う、または建物を賃貸に出して家賃収入を得るという方法もあります。ただし、次のような費用がかかり続けます。
- 地代
- 借地権の更新料
- リフォーム費用
- 建物の固定資産税・都市計画税
- 建て替える場合の建築費用と建替え承諾料
地主さんが買い取ってくれない借地権も、当社が直接買い取ります。
地主さんとの交渉もお任せください。
地主への借地権売却に関するよくある質問

- 地主には借地権を買い取る義務がありますか?

- ありません。借地人の都合で地主に買い取りを求める法的な権利はないため、地主に買い取ってもらうには話し合いで合意する必要があります。

- 地主に借地権を買い取ってもらう場合の相場はいくらですか?

- 更地価格の5割程度がひとつの目安です。「更地価格 × 借地権割合」で出した借地権価格をもとに交渉を始めることが多いですが、借地人から申し出た場合は、それより低い金額になることが多いです。地域や契約内容、建物の状態、地主との関係で大きく変わります。

- 建物買取請求権を使って、地主に建物を買い取ってもらえますか?

- 建物買取請求権が使えるのは、契約期間が満了して更新されない場合などです。借地人の都合で契約を途中でやめて返す場合には使えません。

- 地主に買い取ってもらう場合も、譲渡承諾料はかかりますか?

- かかりません。譲渡承諾料は第三者に売るときに地主に払うもので、地主自身が買い取る場合は不要です。

- 地主から「更地にして返してほしい」と言われました。解体費用は誰が払いますか?

- 借地人の都合で返す場合は、原則として借地人が解体費用を負担します。地主に買い取ってもらう場合は、解体費用をどちらが払うかも交渉で決めます。売買代金に含めるのか、別に払うのかを契約書に必ず書いておきましょう。

- 地主の提示額が安すぎる気がします。どうすればいいですか?

- まず、借地権専門の買取業者に査定を依頼して、第三者に売った場合の価格を確かめましょう。その価格を地主に示して交渉するか、条件のよいほうに売るかを選べます。借地権相談所では無料で査定しています。
借地権のことなら借地権相談所へ
借地権相談所は借地権のプロとして多くの方のサポートをしてきた実績がございます。
借地権・底地の問題も長年取り扱ってきました。顧問弁護士や顧問税理士と連携し法律・税務関係もご相談可能です。
些細な事でも構いませんので、お困りごとがございましたら、ぜひ、ご相談ください。ご相談も査定も無料で承っております。
