【借地権の地代】
相場・計算方法と
値上げ・値下げを求められた時の対処法
更新日:2026/10/01
借地権の地代のポイント(結論)
- 相場の目安:住宅地は固定資産税・都市計画税(年額)の3〜5倍、商業地は5〜8倍程度がひとつの目安です。地域や契約した時期によって大きく変わります。
- 値上げ・値下げ:税金の増減、地価の変動、近所の地代との比較で不相当になった場合、地主も借地人も地代の増減を請求できます(借地借家法11条)。
- 値上げに納得できない場合:すぐに応じる必要はありません。話し合いがまとまるまでは、自分が相当と考える額を払い続ければ足ります。ただし、支払いを止めるのは厳禁です。
- 受け取りを拒否されたら:法務局に供託しましょう。払わないままだと滞納扱いになり、契約を解除されるおそれがあります。
- 話し合いがまとまらない場合:いきなり裁判ではなく、まず簡易裁判所の調停で話し合うのが原則です。
借地権相談所のピピッチです。
今回は、「借地権の地代」について、わかりやすく話していくよ。
その土地を借りる対価として、借地人さんが地主さんに支払う費用が「地代」だよ。
地代は契約を続けるうえでとても重要なものだけど、
「今の地代は高いのか安いのか」
「増額を求められたらどうすればいいのか」
「減額をお願いできるのか」
と悩む人も多いんだ。
地代の値上げや地主さんとの話し合いでお困りの方へ。
借地権の専門スタッフが無料でご相談に応じます。
とは、のことです。借地人は、土地を借りる対価として地主にを支払います。
地代は借地契約が続く限り払い続けるお金で、地主との関係にも大きく関わります。この記事では、地代の相場と計算方法、見直しのタイミング、値上げや値下げを求めるときのルールと対処法を解説します。
目次〔開く〕
借地権と地代の基本
借地権は、地主さんと借地人さんの契約に基づいて成立していて、借地人さんは土地を利用する権利を得る代わりに、地主さんへ地代を支払うんだ。
借地権は長期間続くことが多いから、地代の金額や支払い方法をきちんと確認しておくことが大切だよ。
逆に、地主さんから急に地代の増額を求められることもある。
だから、地代がどう決まるのか、どんなときに見直せるのかを理解しておくことが大切なんだ。
借地権はに基づく権利です。地主は借地人に一定の期間土地を使わせ、借地人はその対価として地代を支払います。
地代は、地主にとっては土地を貸して得る収入、借地人にとっては土地を使い続けるための費用です。地代の支払いは借地人の一番大切な義務で、もあります。

地代はいつ払う?
支払いの時期や方法(毎月・半年ごと・毎年、振込・持参など)は、。契約で決めていない場合、民法では宅地の地代は(後払い)とされています(民法614条)。
地代の相場と計算方法
代表的なのは、公租公課倍率法、積算法、賃貸事例比較法、収益分析法の4つ。
住宅地では、固定資産税・都市計画税の3〜5倍程度、商業地では5〜8倍程度が目安になることがあるよ。
地代はひとつの式だけで決まるわけじゃなくて、土地の状況に合わせて考える必要があるんだ。
地代の計算方法は主に4つあります。実際には、地主と借地人の話し合いで決まることがほとんどで、ここで紹介する方法は「今の地代が妥当か」を判断する目安として使います。
① 公租公課倍率法(固定資産税・都市計画税から計算)
公租公課とは、のことです。地主が払っているこの税金の年額に、一定の倍率を掛けて地代を考えます。もっとも手軽で、実務でもよく目安として使われる方法です。


計算例(住宅地)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 土地の固定資産税・都市計画税(年額) | — | 12万円 |
| 地代の目安(年額) | 12万円 × 3〜5倍 | 36万〜60万円 |
| 地代の目安(月額) | 36万〜60万円 ÷ 12か月 | 3万〜5万円 |
土地の固定資産税額は、地主に毎年届く納税通知書でわかります。借地人の方は、地主に確認するか、市区町村(東京23区は都税事務所)で固定資産評価証明書を取ると評価額がわかります(借地人も取得できます)。
② 積算法(利回り法)
土地の価格を「投資額」と考え、それにを掛け、さらに固定資産税などの必要経費を足して地代を計算する方法です。
土地の価値を反映しやすい一方、利回りを何%にするかで結果が大きく変わります。
③ 賃貸事例比較法
周辺のを集め、立地や広さなどの違いを調整して地代を考える方法です。
今の相場に近い金額を出しやすいですが、借地の地代は公開されていないことが多く、比べられる事例を集めにくいのが難点です。
④ 収益分析法
その土地を使った事業で得られるから、地代として払える額を考える方法です。主に店舗や事業用の土地で使われます。事業の内容や景気によって収益が変わるため、住宅の借地ではあまり使われません。
なお、すでに続いている借地契約の地代を見直す場合(継続賃料)は、新しく貸す場合とは考え方が異なります。調停や裁判では、不動産鑑定士がなどを組み合わせ、これまでの経緯も考慮して金額を判断します。
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地代を見直すタイミング
契約全体を見直すタイミングだから、地代についても確認しやすいんだ。
ほかにも、固定資産税が大きく変わったとき、周辺の地価や地代が大きく変わったとき、土地の利用状況が変わったときも見直しのきっかけになるよ。
借地契約は数十年続くため、その間に土地の価値や税金は変わります。主な見直しのタイミングは次のとおりです。
借地契約の更新時
もっとも多いのが、借地契約の更新時です。更新料や契約期間とあわせて、地代も今の状況に合っているかを話し合います。→ 借地権の更新と更新料
固定資産税・都市計画税が変わったとき
土地の固定資産税評価額は。税額が大きく上がると、地主から地代の値上げを求められるきっかけになります。逆に税額が下がった場合は、借地人から値下げを求める理由になります。
地価や周辺の地代が大きく変わったとき
再開発や新しい駅・商業施設の開業などで地価が上がった場合や、逆に地価が下がった場合、周辺の地代と比べて今の地代が高すぎる・安すぎる状態になることがあります。
土地の利用状況が変わったとき
建て替えや増改築、用途の変更(住宅から店舗へ、など)で土地の使い方が変わる場合も、地代を見直すことがあります。建て替えや増改築で地主の承諾が必要な場合は、承諾料とあわせて地代の見直しを求められることもあります。→ 借地権の承諾料
地代の増減請求ができる条件(借地借家法11条)
ただし、単に「高いから下げてほしい」だけではなく、法律で決められた理由が必要なんだ。
借地契約は長期間にわたるから、その間に固定資産税や都市計画税が変わったり、土地価格が上がったり、周辺の地代と比べて不相当になったりすることがある。
その場合、地主さんから地代の増額を求められることもあるよ。
地代の増減は、感情的に決めるものではなく、税金、地価、周辺相場などをもとに考える必要があるよ。
借地契約は長く続きます(普通借地権は最初の契約期間が30年以上、旧法の借地権は堅固な建物で30年以上・それ以外で20年以上)。その間に次のような事情で地代が、地主・借地人のどちらからでも、地代の増減を請求できます。
- ・土地の
- ・やその他の経済事情が変わった
- ・と比べて高すぎる・安すぎる


借地借家法には次のように定められています。
第十一条(地代等増減請求権)
地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
ポイント① 請求できるのは「これから先」の地代
増減の請求は「将来に向かって」効力があります。過去にさかのぼって差額を請求することはできません。請求した日がわかるよう、で伝えるのが一般的です。
ポイント② 特約の扱い
「一定期間は地代を上げない」という特約は有効で、その期間は増額を請求できません。一方、「地代を下げない」という特約があっても、事情が変われば減額の請求は認められると考えられています。
また、「◯年ごとに◯%上げる」といった自動改定の特約があっても、経済事情が大きく変わり不相当になった場合は、この規定に基づいて増減を請求できる場合があります。
ポイント③ 話し合いがまとまるまでの支払い
:借地人は、裁判で決まるまではを払えば足ります。ただし、後の裁判で決まった額より少なかった場合は、不足分にを付けて払う必要があります。
:地主は、裁判で決まるまではを請求できます。後の裁判で決まった額より多く受け取っていた場合は、超えた分に年1割の利息を付けて返す必要があります。
地主から地代の値上げを求められたときの対処法
納得できなければ、すぐに応じる必要はないよ。
支払いを止めると滞納になって、契約を解除されるおそれがあるんだ。
今までの金額など、自分が相当と考える額は払い続けよう。地主さんが受け取ってくれないときは「供託」という方法があるよ。
地主から値上げを求められたときは、次の順番で対応しましょう。
1. 値上げの理由と根拠を確認する
「固定資産税が上がった」「周辺の地代より安い」など、地主がどんな理由で値上げを求めているのかを確認します。前回の改定からのや、(公示地価・路線価)を調べ、値上げ幅が妥当かを判断します。
2. 納得できなければ、すぐに合意しない
値上げは、借地人が合意するか、調停・裁判で決まるまで確定しません。理由がはっきりしない値上げには、その場で応じず話し合いを続けましょう。
3. 自分が相当と考える額を払い続ける
話し合いの間も、でください。通常は、これまでどおりの金額を払い続けます。
ただし、払っている額がことを知りながら払い続けた場合、「相当な額」とは認められず、契約違反とされるおそれがあります。
4. 受け取りを拒否されたら「供託」する
地主が「値上げ後の額でなければ受け取らない」と拒否した場合は、します。供託すれば、地代を払ったのと同じ扱いになり、滞納にはなりません。一度だけでなく、必要があります。
5. まとまらなければ調停へ
話し合いがまとまらない場合は、簡易裁判所でのに進みます。くわしい流れは次の章で説明します。
地代の値上げに納得できない方、地主さんと話がこじれてしまった方へ。
顧問弁護士と連携して、解決の方法をご提案します。
地代の減額を求める場合のポイント
借地人から地代の減額を求めることも、法律上認められています(借地借家法11条)。減額が認められやすいのは、次のような場合です。
土地の税金や地価が下がった
評価替えで固定資産税が下がった場合や、人口減少・地域経済の衰退などで地価が下がった場合です。前回地代を決めたときと比べて、ことが大切です。
周辺の地代と比べて高すぎる
近所の似た土地の地代と比べて明らかに高い場合も、減額を求める理由になります。ただし借地の地代は公開されていないことが多いため、専門家の意見を参考にするとよいでしょう。
減額は地主が同意しなくても、します。ただし、減額を求めたからといって、借地人が自分の判断で地代を減らして払うことはできません。裁判で決まるまでは、地主が相当と考える額(通常はこれまでの額)を払い続ける必要があります。
また、地主との関係が悪くなると、更新や建て替えの承諾などで話し合いが難しくなることもあります。まずは根拠を示して丁寧に話し合いましょう。
地代の増減で話し合いがまとまらない場合の流れ
調停でもまとまらなかったら、裁判(訴訟)に進むよ。
裁判で決まるまでの支払い方や、最終的に差額が出た場合の利息にも注意が必要だよ。
だから、地代の増減で揉めそうなときは、早めに専門家へ相談することが大切なんだ。
地代の増減について話し合いがまとまらない場合は、次のような流れで進みます。
1.「交渉」
2.「調停」
3.「訴訟」
4.「裁判と判決」
5.「新しい地代の支払い」
6.「差額の精算」
調停や裁判には時間と費用がかかり、地主との関係にも影響します。値上げ・値下げの話が出た段階で、借地権にくわしい専門家に相談しておくと安心です。
また、地代の負担や地主との関係が重荷になっている場合は、地主に借地権を買い取ってもらう、またはという選択肢もあります。
地代の負担や地主さんとの関係にお悩みなら、借地権の売却もご検討ください。
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借地権の地代に関するよくある質問

- 借地権の地代の相場はどれくらいですか?

- 住宅地では、土地の固定資産税・都市計画税(年額)の3〜5倍、商業地では5〜8倍程度がひとつの目安です。ただし、地域や契約した時期、これまでの経緯によって大きく異なります。

- 地主から地代の値上げを求められたら、応じなければいけませんか?

- すぐに応じる必要はありません。値上げは、借地人が合意するか、調停・裁判で決まるまで確定しません。その間は、これまでの額など自分が相当と考える額を払い続ければ足ります。ただし、支払いを止めるのは厳禁です。

- 地主が地代を受け取ってくれません。どうすればいいですか?

- 法務局(供託所)に地代を供託しましょう。供託すれば地代を払ったのと同じ扱いになり、滞納にはなりません。払わないまま放置すると、契約を解除されるおそれがあります。

- 地代の値下げをお願いすることはできますか?

- できます。固定資産税や地価が下がった場合や、周辺の地代と比べて高すぎる場合は、借地人から減額を請求できます(借地借家法11条)。ただし、決まるまでの間に自分の判断で地代を減らして払うことはできません。

- 地代の増減で話し合いがまとまらない場合はどうなりますか?

- 原則として、まず簡易裁判所に調停を申し立てます。調停でもまとまらない場合は訴訟に進み、裁判所が適正な地代を決めます。裁判中に払った額と判決の額に差がある場合は、差額に年1割の利息を付けて精算します。

- 地代を滞納するとどうなりますか?

- 滞納が続き、地主との信頼関係が壊れたと判断されると、借地契約を解除されるおそれがあります。支払いが難しい場合は、早めに地主に相談するか、借地権の売却も含めて専門家に相談しましょう。

- 地代はいつ払うものですか?

- 契約書で決めた時期と方法で払います。契約で決めていない場合、民法では宅地の地代は毎年末に払う(後払い)とされています。
