借地権の
地代について
借地権の地代 要点10秒解説
土地を借りて建物などを所有する権利(借地権)の対価として、土地の所有者(地主)に支払う賃料
地代の目安は土地にかかる固定資産税・都市計画税の3~5倍程度(住宅地)
地代の目安は土地にかかる固定資産税・都市計画税の5~8倍程度(商業地)
地代の増減に関する禁止条項が記載してあっても減額請求はできる可能性がある
借地権買取対応エリアは1都3県になります。
一部エリア内でもご希望に添えない可能性があります。
借地権とは、土地所有者から土地を借り建物所有を目的とした権利のことを言います。借地権には、土地を借りている対価として支払う費用が発生します。これを地代と言います。地代は、土地の利用に対する対価として土地所有者に支払われます。
借地権と地代は、土地を利用する際の重要な事項であり必要不可欠です。本記事では、借地権の地代について深く掘り下げ、その意義、計算法などを解説いたします。
目次〔開く〕
借地権と地代の基本
借地権は土地所有者と借地人との間で結ばれる契約に基づきます。土地所有者は借地人に対して一定の期間、土地を利用する権利を許可します。それに対して借地人はその権利の対価として、土地所有者に地代を支払います。この地代は、借地権を行使するための重要な条件の一つです。
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地代の意義とその重要性
地代は、土地所有者と借地人との間の契約における重要な要素です。地代の額が適切に設定され、両者がその額に納得した場合にのみ、借地契約は成立します。そのため、地代の設定は契約の中心的な部分を占め、両者の間の公正な取引を保証します。
さらに、地代は、土地所有者が土地を貸し出すことで得る収入の源であり、土地を有効に活用する手段となります。逆に借地人にとっては、土地の利用を可能にする重要な費用となります。
また、地代は土地の価格や市況により大きく変動します。これは、土地の需要と供給、地域の経済状況、周辺環境の変化など、多くの要素によって影響を受けます。そのため、地代は定期的に見直され、市況に応じて調整される必要があります。
地代の計算方法の詳細
地代の計算には、いくつかの方法がありますが、ここでは4つの主要な計算方法について具体的に説明します。それぞれの方法には特性と利点、適用のポイントがあります。
公租公課からの算出
公租公課から地代を算出する方法は、公租公課(地価公示価格や固定資産税評価額等)を基に地代を計算する方法です。公租公課は、行政が定めた土地の価格であり、その土地の公正な価値を反映しています。公租公課に一定の割合をかけることで、地代を算出します。この方法は、公的に設定された価格に基づいているため、透明性があります。しかしながら、公租公課は必ずしも現在の市況を反映していない場合があるため、注意が必要です。
住宅地:固定資産税・都市計画税の3~5倍
商業地:固定資産税・都市計画税の5~8倍
積算法(利回り法)
積算法は、土地投資の収益率(利回り)を基に地代を算出する方法です。具体的には、土地の価格を投資額とし、その投資に対するリターンとして何%を得られるかを計算します。
この%を地代に当てはめることで、地代を計算します。この方法は、投資としての土地の価値を反映していますが、収益率は市場状況や土地の利用状況により変動します。
そのため、積算法を使用する場合は、常に最新の市況情報を把握する必要があります。
賃貸事例比較法(取引事例法)
賃貸事例比較法は、周囲の類似した土地の地代や、土地の取引価格を参考にして地代を設定する方法です。
同じ地域の類似する物件の地代や取引価格を調査し、その平均値や中央値を地代として設定します。
この方法は、地代を現在の市況に即した形で設定することができます。しかしながら、適切な事例を見つけるためには、広範で詳細な市場調査が必要です。
収益分析法
収益分析法は、土地を使用して得られる収益を基に地代を算出する方法です。
具体的には、土地を活用したビジネスから得られる収益の一部を、地代として設定します。この方法は、土地の利用価値を直接反映しています。
しかし、収益はビジネスの種類や規模、経済状況などにより変動します。そのため、収益分析法を使用する場合は、収益予測の正確さが求められます。
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地代を見直すタイミング
土地の価値や市場環境は常に変化します。それらの変化に対応して、地代の見直しを適時に行うことは、土地の有効活用や公正な取引を維持するために重要です。地代の見直しは、特定のタイミングや条件に基づいて行われます。以下に、その主要なタイミングをいくつか紹介します。
借地契約の更新時
最も一般的な地代見直しのタイミングは、借地契約の更新時です。
契約の更新時には、契約条項全体の見直しが行われるため、地代の見直しも含まれます。このタイミングで地代を見直すことで、契約更新時の市場状況や土地の利用状況に応じて適切な地代を設定することが可能となります。
周囲の物件の地代変動時
周囲の類似物件の地代が大きく変動した場合、それが市場全体の動向を反映している可能性があります。
そのため、このような情報を収集し、その動向に合わせて自身の物件の地代を見直すことが求められます。
法律や税制の変更時
法律や税制の変更は、土地の価値や土地利用のコストに大きな影響を与えます。
例えば、固定資産税率の変更、都市計画法の改正、地方自治体の条例改定などは、地代に影響を与える可能性があります。
このような変更があった場合には、地代の見直しを検討する必要があります。
土地利用状況の変化時
土地利用状況の変化、例えば、新たな開発計画の進行、隣接地の再開発、土地の利用目的の変更なども、地代の見直しを必要とする事情となります。
これらの変化は、土地の有効性や価値に影響を与えるため、地代にも影響を与えます。
以上のようなタイミングで地代の見直しを行うことで、土地の価値や市場状況の変化に対応し、適切な地代を維持することが可能になります。
土地を貸し出す側と借りる側の双方にとって、地代の公正な設定は、土地利用の利益を最大化し、公平な取引を維持するために重要です。したがって、地代の見直しのタイミングを把握し、適切に見直しを行うことが求められます。
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地代の減額は可能なのか
地代の減額は法律的には可能ですが、それには適切な理由と協議が必要となります。
地代は、借地契約における土地所有者と借地人間の合意によって決まるため、契約条件の変更は双方の同意によって行われます。
以下に、地代の減額が検討される主な状況について解説します。
市況の変化による価値低下
不動産市場の変化や地域経済の変動により、土地の価値が低下した場合、地代の減額が可能となる場合があります。
例えば、長期的な人口減少や地域経済の衰退、新たな都市計画による地価下落などがそれに当たります。
このような場合、土地所有者と借地人が協議を行い、現在の土地価値に即した地代に調整することが考えられます。
土地利用条件の変化
土地の利用条件が変わった場合も、地代の減額が可能な場合があります。
例えば、建物の老朽化や土地の利用制限などにより、土地の利用価値が低下した場合などです。
このような状況では、借地人は土地所有者に対して地代の減額を提案し、新たな地代を合意することが必要となります。
なお、地代の減額を求める際には、市場価値や利用状況に基づく具体的な理由を明示することが重要です。
また、地代の減額は土地所有者の同意により行われるため、協議を通じた合意形成が不可欠となります。
地代の増減請求はどういうときにできるのか?
借地権の契約期間は20年以上(旧法、非堅固建物)30年以上(旧法、堅固建物)普通借地権(新法)だと30年以上と借地契約は長期間にわたります。
その契約期間の間に租税公課の増減、地価の変動、近隣の地代と比較して不適切となった場合など当事者は賃料の増減を請求する事ができます。
借地借家法にも下記のように規定されています。
第十一条(地代等増減請求権)
地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
二、地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
三、地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
土地の租税公課の増減
土地の固定資産税・都市計画税の増減については、土地の評価額によって決まります。
土地の評価額は、土地の位置、規模、用途、市場価格などに基づき定められます。土地の評価額が上昇すれば、固定資産税は増加する傾向にあります。
逆に、評価額が下降すれば、固定資産税は減少します。
この評価額の見直しは3年に1度行われています。
土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動
土地の市場価値と全般的な経済状況の変化を指します。
具体的には、開発状況や人口動向による土地価格の上下、そしてインフレーション、金利の変動、雇用状況の変化などの経済的な要素が含まれ借地権契約の賃料の設定や再評価に重要な影響を与えます。
近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき
その土地の賃料が周辺の同じような土地の賃料と比べて適切でないと判断される状況を指します。
具体的には、商業施設や交通網の開発による立地条件の改善、インフレーションによる経済状況の変化、土地の利用形態の変更などがこれに該当します。
これらの変化が起きた場合、借地人や地主は賃料の再評価を要求することが可能です。
上記のように、租税公課の増減、経済事情の変動、近隣と比較して不相当となった場合には、借地人、地主は賃料の増減を請求できます。
お互いの合意が得られない場合は裁判による地代の増減請求ができます。
ただし、地代等の調整についての合意が得られないとき、請求を受けた者は、裁判が決定するまで、相当と思われる地代等を要求できます。
しかし、裁判での判断が下り、相当とされた地代に対し、支払った金額に差額がある場合は、その差額に年1割の利息を付けて償還する必要があります。
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地代減額請求の大まかな流れ
土地の価格や経済状況、近隣の地代等が大きく変動した場合、地主や借地人のいずれかが地代の増減を求めることができます。
1.「交渉」
次に、両当事者間で地代の増減についての交渉が行われます。ここで両者が合意に達すれば、新しい地代が設定されます。
2.「合意に至らない場合の訴訟」
3.「裁判と決定」
4.「増減地代の支払い」
5.「裁判で決定した地代に過不足が生じた場合」
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記事監修
監修者:株式会社マーキュリー 取締役 大庭 辰夫
2011年4月に入社以来、借地権・底地などの権利関係が複雑な不動産を取り扱い数多くの借地権者様、地主様の問題を解決し、土地・戸建て・マンション
・商業ビルなどあらゆる不動産の再生を行ってきた。
また、弁護士との情報共有を頻繁に行い、借地権・底地の見識を日々深めている。2018年5月、取締役に就任。