【借地権の承諾料とは】
相場一覧と計算例、
地主が承諾しないときの対処法
更新日:2026/10/01
借地権の承諾料の相場(結論)
借地権の売却・建替え・増改築・建物の構造の変更をするときは、地主の承諾が必要になり、その際に承諾料を払うのが一般的です。主な相場は次のとおりです。
| 承諾が必要な場面 | 承諾料の名前 | 相場の目安 |
|---|---|---|
| 借地権を第三者に売る | 譲渡承諾料(名義書換料) | 借地権価格の10%前後 |
| 建物を建て替える | 建替え承諾料 | 更地価格の3〜5%前後 |
| 一部を増築・改築する | 増改築承諾料 | 更地価格の2〜3%前後 |
| 木造から鉄筋コンクリート造などに変える | 条件変更承諾料 | 更地価格の10%前後 |
| 建物の寿命が延びる大規模なリフォーム | 増改築承諾料 | 更地価格の3〜5%前後 |
※承諾料の額は法律で決まっていません。上記は東京近郊の実務でよく使われる目安で、地域や契約、地主との関係によって変わります。地主が承諾しないときは、裁判所に承諾に代わる許可を求める「借地非訟」という手続きがあります。
借地権相談所のピピッチです。
今回は、「借地権にまつわる承諾と承諾料」について話していくよ。
そのため、売却や建て替え、大規模なリフォームをするときには、地主さんの承諾が必要になることがあります。
今回は、どんな場面で承諾が必要なのか、承諾料の目安と計算例、地主さんが承諾してくれない場合の対応まで、わかりやすく解説します。
目次〔開く〕
なぜ借地権では地主の承諾が必要なのか
土地の所有者は地主さん、建物の所有者は借地人さん。
このように権利関係が分かれているのが大きな特徴なんだ。
無断で進めると、契約解除につながるおそれもあるから注意が必要なんだ。
借地権は、です。地主は土地を貸し、借地人はその対価として地代を払います。土地の所有者は地主、建物の所有者は借地人と、権利が分かれているのが特徴です。
承諾が必要になる理由は、大きく2つあります。
- :住宅の借地のほとんどは「土地の賃借権」です。賃借権は、貸主の承諾がなければ他人に譲れないと民法で決められています(民法第612条)。
- :多くの借地契約書には「増改築をするときは地主の承諾を得る」といった特約(増改築制限特約)が入っています。建物が新しくなると借地関係が長く続くため、地主にとって影響が大きいからです。
なお、借地権が「地上権」の場合は、地主の承諾なく売却できます。自分の借地権が賃借権か地上権かは、契約書や登記で確認できます。→ 賃借権とは → 地上権とは
地主の承諾が必要な場面と承諾料の相場
それから、住宅ローンを使うときに必要な「ローン承諾」もあるんだ。
売るときの承諾料は「借地権価格」をもとに、建て替えや増改築のときは「更地価格」をもとに計算するのが一般的だよ。
どちらを基準にするかで金額が大きく変わるから、ここは押さえておこう。
地主の承諾が必要な主な場面は、次の5つです。①〜④を無断で行うと、地主との信頼関係を壊したとして、契約を解除されるおそれがあります。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
① 借地権の第三者への譲渡(売却)と譲渡承諾料
相続した借地権を使う予定がないなど、借地権を売りたいと考える方は多くいます。ただし、賃借権の譲渡には、民法で次のように決められています。
「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」 参照:e-Gov 民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
そのため、借地権をで、があります。承諾を得るときに払うのがです。
| 譲渡承諾料(名義書換料)の相場 |
|---|
| 借地権価格の10%前後 |
地主によっては独自の決め方をしていて、や、などを求められることもあります。譲渡承諾料は、売主である借地人が払うのが一般的です。
なお、ため、地主の承諾も承諾料も原則として不要です。
② 建物の建替えと建替え承諾料
長く土地を借りていると、建物が古くなり、建替えを考える時期が来ます。木造住宅の場合、手入れの状況にもよりますが、築50年前後で建替えを考えることが多いようです。
借地契約書に(「増改築には地主の承諾が必要」という取り決め)がある場合、建替えには地主の承諾が必要です。多くの借地契約書にこの特約が入っています。
地主が承諾を気にするのは、からです。借地借家法では、期間が満了しても建物があれば借地人は更新を求められ、地主は正当事由がない限り断れません(第5条・第6条)。また、地主の承諾を得て残りの期間を超えて使える建物を建てると、借地権の期間が延びます(第7条)。
| 建替え承諾料の相場 |
|---|
| 更地価格の3〜5%前後 |
新法(1992年8月以降の契約)の普通借地権では、と、地主から契約の解約を申し入れられることがあります(第8条)。建替えの前には、必ず地主と話し合いましょう。→ 建替え・増改築について詳しくはこちら
③ 増改築・大規模なリフォームと承諾料
増改築制限特約がある場合、にも、地主の承諾が必要になります。どこまでが「増改築」にあたるかは契約や工事の内容によりますが、目安は次のとおりです。
| 工事の内容 | 承諾の要否の目安 |
|---|---|
| 部屋の増築、2階の増築、間取りの大きな変更 | 承諾が必要 |
| 柱・梁・土台など構造に関わる工事、屋根の葺き替えや外壁の張り替えなど、建物の寿命を大きく延ばす工事 | 承諾が必要になることが多い |
| 内装の張り替え、キッチン・浴室など設備の交換、外壁の塗り替えなどの通常の修繕 | 通常は不要 |
判断に迷う工事は、始める前に地主に相談しておくと、後のトラブルを防げます。
| 増改築承諾料の相場 |
|---|
| 一部の増改築:更地価格の2〜3%前後 建物全体に及ぶ大規模なリフォーム:更地価格の3〜5%前後 |
④ 建物の構造の変更と条件変更承諾料
借地契約で「木造に限る」「非堅固建物に限る」など、建物の構造が決められていることがあります。この場合、が必要です。
特に旧法(1992年7月31日以前の契約)では、堅固建物と非堅固建物で借地権の期間が違います。堅固建物にすると借地関係がより長く続くため、建替えより高い承諾料が求められます。
| 旧法の建物区分 | 契約で期間を定める場合の存続期間 | 更新後の期間 |
|---|---|---|
| 非堅固建物(木造など) | 20年以上 | 20年 |
| 堅固建物(鉄筋コンクリート造など) | 30年以上 | 30年 |
| 条件変更承諾料の相場 |
|---|
| 更地価格の10%前後 |
⑤ 抵当権設定の承諾(ローン承諾)
建替えや増改築をする借地人や、借地権付きの建物を買う人の多くは、金融機関でローンを組みます。このとき金融機関は建物に抵当権を設定し、ほとんどの場合、を求めます。
このローン承諾は、です。後で説明する借地非訟でも、裁判所に代わりに許可してもらうことはできません。現金で建替えや購入をする場合は不要です。
承諾料の計算例
更地価格が5,000万円、借地権割合が60%の土地を例に計算してみます。借地権価格は「5,000万円 × 60% = 3,000万円」です。
| 承諾料 | 計算 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 譲渡承諾料(名義書換料) | 借地権価格3,000万円 × 10% | 約300万円 |
| 建替え承諾料 | 更地価格5,000万円 × 3〜5% | 約150万〜250万円 |
| 一部の増改築承諾料 | 更地価格5,000万円 × 2〜3% | 約100万〜150万円 |
| 条件変更承諾料 | 更地価格5,000万円 × 10% | 約500万円 |
ここでの更地価格は、相続税路線価をもとにした価格を使うことも、実際の取引価格(時価)を使うこともあり、どちらを基準にするかで金額が変わります。借地権価格や路線価の調べ方は、こちらの記事で解説しています。→ 借地権割合と借地権価格の計算方法
地主が承諾しないときの対処法
それでもまとまらない場合は、借地非訟という裁判所の手続きを使えることがあるんだ。
これは、裁判所に地主さんの承諾に代わる許可を求める手続きだよ。
ただし、ローン承諾については、裁判所の許可はもらえない点に注意が必要だよ。
借地非訟は専門的な手続きになるから、話し合いが進まない場合は、早めに専門家へ相談することが大切なんだ。
まずは話し合いで解決を目指す
借地関係はこの先も続くため、できるだけ話し合いでまとめるのが理想です。地主が承諾しない理由が「承諾料が安い」「次の借地人が不安」「将来は土地を返してほしい」など、どこにあるのかを確かめましょう。借地権を地主に買い取ってもらう、底地と一緒に売る、といった別の方法で折り合えることもあります。→ 地主が借地権を買い取る場合の相場 → 借地権と底地の同時売却
話し合いでまとまらなければ借地非訟
借地非訟は、地主の承諾に代わる許可を裁判所に出してもらう手続きです。借地借家法では、次の5つが定められています。
| 申立ての種類 | 使う場面 | 条文 |
|---|---|---|
| 借地条件の変更 | 木造から鉄筋コンクリート造に変えるなど、建物の種類・構造の制限を変えたい | 第17条第1項 |
| 増改築の許可 | 建替えや増改築をしたい | 第17条第2項 |
| 更新後の建物の再築の許可 | 新法の契約で、更新後に残りの期間を超える建物を建てたい | 第18条 |
| 土地の賃借権の譲渡・転貸の許可 | 借地権を第三者に売りたい(買主が決まっていることが前提) | 第19条 |
| 競売・公売に伴う賃借権の譲渡の許可 | 競売などで借地上の建物を買った人が、借地権を引き継ぎたい | 第20条 |
裁判所が許可を出すときは、多くの場合、借地人から地主に一定の金銭(財産上の給付)を払うよう命じます。その額は、承諾料の相場とおおむね同じ水準になることが多いです。
また、譲渡の許可を申し立てると、ことができ(介入権)、その場合は裁判所が決めた価格で地主に売ることになります(第19条第3項)。
申立てから決定まで、半年から1年ほどかかることが多く、弁護士費用もかかります。なので、裁判所の許可は得られません。
→ 借地非訟について詳しくはこちら
地主さんが承諾してくれない借地権も、当社が直接買い取ります。
交渉や借地非訟の費用もご相談ください。
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1.「無料相談&お問い合わせ」
借地権問題のことなら大小にかかわらずまずはご相談ください。意外とこの時点で解決してしまうことも多くございますので、どんな些細なことでも現在借地権者様がお困りのことを率直にお電話、またはメールにてお伝えください。ベテランの借地権者様はもちろん、借地権に関する知識が少ない借地権者様にもわかりやすいように、当社の借地権専門スタッフが迅速&丁寧に対応させていただきます。
2.「お客様の悩みに合わせたご提案」
3.「ご納得いただけましたらご依頼」
4.「地主さんと交渉」
5.「解決」
承諾料・借地権の売却に関するよくある質問

- 承諾料は法律で決まっているのですか?

- いいえ、承諾料の額を決めた法律はありません。地主と借地人の話し合いで決めるもので、「借地権価格の10%前後」などの相場は、実務や借地非訟の裁判例で積み重なってきた目安です。話し合いでまとまらない場合は、借地非訟で裁判所が金額を判断します。

- 相続で借地権を引き継ぐときも、承諾料は必要ですか?

- 相続人が相続する場合は「譲渡」にあたらないため、地主の承諾も承諾料(名義書換料)も原則として不要です。地主から請求されることがありますが、支払う義務はありません。ただし、相続した借地権を第三者に売る場合は、譲渡承諾料が必要になります。
→ 借地権の相続について詳しくはこちら

- 地主の承諾を得ずに建替えや売却をするとどうなりますか?

- 地主との信頼関係を壊したとして、契約を解除されるおそれがあります。解除されると、建物を取り壊して土地を返すよう求められることもあります。承諾が得られない場合でも、無断で進めずに、借地非訟で裁判所の許可を得る方法を検討してください。

- 借地権の評価ってどうやって決まるの?

- 相続税などの評価では、路線価をもとにした更地の評価額に借地権割合を掛けて計算します。ただし、実際の売却価格は地主の承諾や契約内容などで変わります。
→ 計算方法について詳しくはこちら

- 借地権を売却できますか?また売るときの注意点は?

- はい、売却できます。借地権の売却で一番注意しなければいけないのが、地主との交渉です。地主の承諾がもらえなければ売却できないからです。借地非訟で承諾に代わる許可をもらうこともできますが、時間と費用がかかります。
借地権相談所では、地主との交渉を借地権者様に代わって行い、当社が直接買い取ることもできます。「将来、売却を考えている」「とりあえず査定だけしてもらいたい」といったご相談でも大丈夫です。
※対応可能エリア:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県

- 住宅ローンが残っていても売却できる?

- 売却できます。住宅ローンが残っている場合、借地上の建物に抵当権が設定されているため、売却代金などでローンを完済して抵当権を抹消してから引き渡すのが原則です。売却代金だけで足りない場合は、不足分を自己資金で補う必要があります。

- 借地権を売却した際にかかる税金や費用はありますか?

- 売却で利益が出た場合、「売却価格 −(取得費+譲渡費用)」で計算した譲渡所得に、所得税と住民税がかかります。所有期間が5年を超える場合は税率が低くなり、自宅を売る場合の3,000万円特別控除などの特例が使えることもあります。
費用としては、譲渡承諾料のほか、売買契約書の印紙代、抵当権の抹消費用、登記上の住所が今の住所と違う場合の住所変更登記の費用などがかかります。

- 地主さんが借地権の売却を認めなかった場合の対処法はありますか?

- 基本的には、地主と交渉を重ねて承諾をもらうのが一番です。どうしても承諾が得られない場合は、借地非訟で裁判所に承諾に代わる許可を求める方法があります(次の買主が決まっていることが条件です)。
→ 借地非訟について詳しくはこちら
